ご挨拶

このたび、文部科学省「大学の世界展開力強化事業」(2025年度:グローバル・サウスの国々との大学間交流形成支援)において、筑波大学が提案した「地球社会共生の未来を共創する学際フィールド共修」というプログラムがタイプⅡ(アフリカ諸国)に採択されました。対象国はガーナで、ガーナ大学、ケープコースト大学、クワメ・エンクルマ科学技術大学の3大学とともにプログラムを実施します。

さて、日本では少子高齢化が進み、2050年には人口が1億人を割ると予測されています。一方、アフリカ大陸の人口は現在の15億人から25億人に増え、世界人口の4分の1を占めると予測されています。日本はアフリカと地理的には遠い関係にありますが、日本政府が1993年よりアフリカ開発会議(Tokyo International Conference on African Development: TICAD)を主導するなどして、アフリカとの関係を深めてきました。日本とアフリカが今後も重要なパートナーとして自他共栄を目指すには、お互いを知り、理解し、双方の立場を尊重しながら、未来の社会を共創する姿勢が求められます。

ところで、皆さんはアフリカに対してどのようなイメージをお持ちでしょうか。私が中高生だった1980年代はエチオピアを中心に東アフリカで大飢饉が発生し、食料を求め歩く多くの人びとの姿がたびたび報じられていました。また、アフリカ救済のため、米国の著名なアーティストが集結しリリースしたチャリティーソング “We are the world” が大ヒットしていました。そうしたメディアの影響もあり、当時アフリカは「憐れみ」と「救済」の対象というイメージが広がっていたように思います。

アフリカでは今も紛争や内戦、異常気象などで飢餓に苦しむ人びとがいることは事実であり、その現実を見過ごすことはできません。しかし、それがすべてではありません。たとえば、人びとの間ではモバイルマネーが広く普及し、2021年にはアフリカが世界のモバイル決済額の7割を占めたと報告されています。また、宇宙開発が各国で進んでおり、2025年4月にはアフリカ宇宙庁(AfSA)が発足しています。このようにアフリカは未来に向かって著しい成長を遂げていることもまた事実です。

本プログラムでは、未来を担う筑波大学の学群生が地球社会共生の未来を共創する強い志を醸成し、それをガーナの同じ世代の学生と共有し、あるべき未来を構想し、その実現にチャレンジできるよう、日本とガーナにおいて共修する機会を提供します。本プログラムはあらゆる専門分野の学生でも参加できるよう、工夫がなされています。日本とガーナのさまざまな専門分野の学生が本プログラムに参加することで、参加者は多様な価値観と「未知」に出会い、将来的には未来の共生社会をデザインできる「知」を生み出すことが期待されています。未来志向の皆さんの積極的な参加をこころよりお待ちしています。

筑波大学医学医療系 教授
プログラムリーダー
市川 政雄